いい姿勢になるには?
「小さいころから猫背(ねこぜ)だということは気づいていたんですけど、どうすればいいか分からなくて・・・」
こんなお話をよくカウンセリングルームで伺います。
問題はわかっているのに、対処法が分からないって悲しいし、つらいことです。
そこで、今日は猫背をよくする「姿勢の魔法『シャキーン』」メソッドの一つ、「頭のちょこんと乗せ」をご紹介します。
姿勢が悪いと何が問題?
「ホメオスタシス(生体内恒常性)と神経系の機能は姿勢と結びついている。」ということが、米国疼痛マネジメントのジャーナル(American Journal of Pain Management)に記されています。
*「ホメオスタシス(生体内恒常性)」とは
ホメオスタシス(生体内恒常性)というのは、その内部環境を一定の状態に保ちつづけようとする傾向のことを指します。
語源をひも解くと、homeo(同一)+stasis(状態)なので、日本語では「同一の状態」という意味になります。
つまり、姿勢をよくすると、神経系の機能が高まり、「ホメオスタシス(生体内恒常性)」が高まる、つまりは安定するということですね。
体温調整一つとっても、私たちは自律神経を介して、一定の体温を保つように調整しています。
例えば、姿勢が悪く、神経の流れに問題があると、次のような症状になります。
■事実:指先が超冷たい
感覚神経を介して、末端の温度の情報を脳に届けようとする。
でも、姿勢が悪いと、情報がきちんと伝わらなくなります。
■脳の受け取る情報:指先が冷たい
■脳が出す命令
脳は自律神経を介して、体温を高めようと試みます。
「指先が超冷たい」という事実があったとしても、脳は情報として、「指先が冷たい」という情報を受け取っているので、「温める」という命令を出します。
すると、自律神経を介して、震えたり、血液を介して体温調整を試みます。
体温調整は、温かい血液がしっかり巡ることで末端を温めることができます。
しかし、ここでも姿勢が悪ければ、神経や血液の流れが悪くなりますので、「温める」ための体の機能は100%働かないと、「少し温める」ことしかできません。
■指先が受け取る変化
「指先が超冷たい」という事実に対して、脳は「指先が冷たい」という情報を受け取り、「温める」という命令を出しますが、指先には「少し温める」対処しかできません。
結果、指先としては、「超冷たい」という事実があるのに、「少し温める」という対処なので、「やや温まったが、依然として指先は冷たい」という結果にしかなりません。
つまりは、体温調整がうまくいかず、いつも指先が冷たいという状況になります。
姿勢が悪くなる原因
姿勢が悪くなる原因の一つに、生活様式の変化があります。
「現代人は読書やスマホなど手でもって操作するデバイスを使用することで、1日2~4時間、年間700~1,400時間も頭を下に向けて生活しています。」
Kenneth K. HANSRAJ, M.D.
Assessment of Stresses in the Cervical Spine Caused by Posture and Position of the Head.
(姿勢と頭のポジションによって引き起こされる頸部のストレス評価)
Neuro and Spine Surgery, nov. 2014; Bol. 25; pp.277-279
特に日本人は、お辞儀を頻繁に行う文化的習慣がありますが、その時に、私が命名しました「首お辞儀」といって、首だけを前に出したり、首だけ下にぐいっと深く曲げるお辞儀をしてしまっている方がいます。
本来、礼をするときは「背筋を伸ばし、腰から曲げる」のが基本です。ですので、「腰からが首だと思いましょう!」というのも提唱しています。
すると、腰から曲げやすくなります。
生活習慣の改善をした方が良いのは頭では分かっていても、なかなか難しいものです。
ただし、一つ言えることは、古い習慣を捨てることよりも、新しい習慣で上書きするという発想の方が、生活習慣を改善する上では大事です。
「姿勢の魔法『シャキーン』メソッド「頭のちょこんと乗せ」
そこで、本日の本題。
新しく身に着けていただきたい簡単メソッドをご紹介します。
当院では首にかかる負担を減らすための姿勢矯正方法として、院長佃 隆の提唱している「姿勢の魔法『シャキーン』」メソッド「頭のちょこんと乗せ」のやり方をお教えしています。
やり方はとってもカンタン!
頭を上に向け、斜め後ろが見えるまで頭を後ろに倒します。
ただし、ゆっくりと!(動きが速いと首を傷めるので注意!)
頭の位置をゆっくりと戻し、首の上に「頭をちょこんと乗せる」
*目安:頭の重さが一番軽いと感じるところです。
奥歯でしっかり歯を噛むと、一番力が入る位置にもなります。
顔の角度はまっすぐよりも、ほんの少し上を向いている状態です。
ただし、目線は目の高さでまっすぐ見るようにしてみてください。
1日10回を目安に、どうぞお試しくださいね。